「豊かな人生」という言葉を聞いて、あなたはどんな人生を想像しますか?
「多くの収入や財産」
「よい人間関係
」
「好きなことができる時間がある」
「なにかを達成する」
・・・など、その人の価値観によって、いろいろな答えが出てくると思います。
私なら「幸せを感じる瞬間をたくさん持つことのできる人生」と答えるでしょう。
毎日、ちょっとしたことにも幸せを感じながら、笑顔で生きていきたい、そんなふうに思います。
食事は「毎日味わえる幸せ」ではないでしょうか。
朝・昼・晩の食事と、日によっては間食も、
毎日美味しく味わうことに大きな喜びを感じる人も多いでしょう。
歯が健康であれば、なんでもよく噛んで、味も食感も満喫できます。
また、大切な人と食事をともにして、幸せな時間を過ごすこともできます。
歯が美しければ、笑顔も素敵になります。
笑顔に自信を持って会話を楽しんでいる人は輝いています。
会話の時、食事の時、気兼ねなく素敵な笑顔でいられたら幸せです。
極論すれば、「人生とは時間」です。
幸せな瞬間・瞬間をつなげていけば、幸せな時間になり、
たくさんの幸せな時間をつなげていけば、豊かな人生になるのではないでしょうか。
しかし、虫歯や歯周病、加齢や事故などで、歯を失うことがあります。
私のもとにおいでくださる患者様の中にも、歯を失った方が多くいらっしゃいます。
歯を失った方のお話を伺うと、
「歯の健康と日々の幸せは密接に結びついている」のだと、痛切に感じさせられます。
ある女性は、ホテルのレストランで行われた同窓会の最中、
歯茎と入れ歯の間にゴマが入ってしまったことがあったそうです。
食べればゴマが障って痛いけれど、周囲の目を思うと入れ歯を外すわけにもいかず、
せっかく楽しみにしていた同窓会なのに、最後まで我慢し続けて
拷問のような時間となってしまったとおっしゃっていました。
またブリッジを使っている方は
「笑うと金属が見えてしまうので、人前ではなるべく笑わないようにしている」そうです。
いつも人の目を気にして笑うこともできず、会話が楽しくなくなり、
人と話すことが苦痛になったとおっしゃっていました。
他にも
「食事がまずくなり、食べる楽しみがなくなった」
「好きな食べ物が食べられなくなった」
「自分が入れ歯を入れる、ということ自体がショックだった」
「発音が悪くなって、人と話すのが億劫になった」など、
歯があった頃には想像もできなかったような
不便や不都合を感じている方が多いのです。
私は歯周病が専門分野ですので、歯を失う辛さ、
歯を失ってからの悩みを相談されることが多くありました。
だからこそ、「歯の健康や美しさを失うことで、人生は大きく変わってしまう」
と実感していますし、
失った歯を取り戻せるものならば取り戻してあげたいと強く願うのです。